投球障害肩・肘について
野球などのオーバーハンドスポーツ特有の肩や肘の障害です。
年齢層や部位、程度など様々ですが成長期の子供にはリトルリーガーズ肩と呼ばれるものがあります。(下図)これから成長する軟骨がはがれてしまう障害です。また肘では離断性骨軟骨炎というものもあります(図)肘の外側の軟骨に炎症をきたすものです。どちらもある程度のスポーツ活動休止する必要があるため、あまりにも痛みが強い場合では、レントゲンのある病院への受診をオススメします。
原 因
スポーツ活動の原因
未成熟な投げ方による肩や肘への負荷や投球数増加などによるオーバーユースが原因の一つです。下の表は未成年選手に対する投球数の提言です。
身体的な原因
リハビリテーション
- 方法
- リハビリでは肩や肘に負担をかけている原因を特定し、それに対するトレーニングや投球動作指導を行っています。
腰椎分離症
背骨(特に腰の骨)に発生する疲労骨折です.骨折した状態で骨が癒合せず、分離した状態を腰椎分離症といいます。分離した状態でも運動は継続できます。ですが運動を休止しただけでは再発、又は違う個所に分離が発生し運動が継続できないこともあります。そのためにもリハビリを行うことで症状の改善や悪化、再発予防を当院では強く進めています。
原 因
スポーツ活動の原因
一般の人では5%程度に分離症の人がいますが、スポーツ選手では30~40%の人が分離症になっています。つまりスポーツ動作時の負荷によっておきています。特に運動中に腰を反ったりひねったりすることにより発生すると言われています。
身体的な原因
- 悪い姿勢(反り腰・猫背など)
- 全身の柔軟性低下
- 体幹筋力不十分
- バランス能力低下
リハビリテーション
- 方法
- 当院では分離症の必要に応じてコルセット固定を行います。その期間は運動制限となります。(運動休止)
- リハビリではコルセット固定後早期にスポーツ復帰できるよう復帰に向けて固定中でもできる範囲でのコンディショニング対応を行っています。
- 固定を行わない場合も柔軟性・筋力・バランスなどの改善を図り、早期復帰・再発予防に努めています。
オスグット
膝のお皿の下にある脛骨粗面といわれる部位には、成長期の子供にだけ成長軟骨が存在します。その軟骨部に付着する筋肉の引っ張る力により剥がれるよう損傷するケガのことをオスッグドといいます。つまり成長期の子供にしかならないものであり、成長が終わればオスグッドによる痛みも治ります。ですが、損傷の程度が強く、運動にかなりの支障をきたす場合には、手術にて剥がれた骨のかけらを摘出することもあります。
原 因
スポーツ活動の原因
スポーツ活動による、走ったり・ジャンプしたりすることの過度の負担が膝にかかることが原因だといわれています。
身体的な原因
男の子は中学1年生、女の子は小学6年生。
この時期が最も身長が伸びる時期だと言われています。急激に身長が伸びることにより体が固くなったり、バランスを崩しやすくなったりします。結果、膝への負担がかかりオスグッドを引き起こすと考えられています。
リハビリテーション
- 方法
- 身体的な原因を探り、膝への負担がかからないようにストレッチやバランスを整えるような運動指導を行います。
- 痛みが強い場合は、テーピングやインソール療法などを併用することもあります
- なるべく無駄な休息をなくし、運動が継続できるよう努めています。
シンスプリント
スネの内側、後方に痛みの起こる障害です。主には陸上部に多く見られ、発生頻度は非常に多く存在しています。
また強い痛みが続く場合では、疲労骨折を起こしている可能性があるため病院受診をオススメしています。
原 因
身体的な原因
偏平足など・足の柔軟性低下・筋力不足。
環境的な原因
固いグラウンド・古くなりすり減った靴。
練習の原因
練習量の増加,質の変化・急激な練習。
リハビリテーション
- 目的
- スネへの負担を減らす。
- 方法
- 足部に対して:中敷きの調節(インソール)やテーピングなどを行います。
- 患部外に対して:柔軟体操(ストレッチ)や体幹下肢の筋力,バランストレーニングを行います。
足関節捻挫
足首をねじり靭帯が伸ばされることにより起きるスポーツ障害の中でも最も多い外傷の一つです。
初期治療が重要であり、適切に行わないと“痛み”や“不安定性”といった捻挫後遺症により生活やスポーツに支障が生じることもあります。また捻挫後遺症が原因となり他のケガにつながることも決して少なくありません。さらに、重傷例では剥離骨折や軟骨損傷,骨挫傷なども合併することがあります。
そのためにも、軽視することなく適切な診断・処置とリハビリテーションを受けることが重要です。
リハビリテーション
競技への早期復帰と再発予防のための治療段階
- 第一段階
- 安静・固定・アイシング:損傷した靭帯に早くから負荷をかけてしまうと治りが遅くなってしまう可能性があります。
- 第二段階
- 足首の固さや筋力、バランス能力の改善:足首以外でも捻挫してしまう原因が隠れている場合があるため、患部外に対してもアプローチします。
- 第三段階
- 走る・止まる・飛ぶ・蹴るなどの動作確認:テーピング指導やインソールなども再発予防のため行うこともあります。